茶の湯展 東京国立博物館
これを見逃したら生涯悔いが残ると思い日本に帰国しました。次から次へと心に響く名品が現れ、感動して胸が一杯。めまいがするほど素晴らしい展覧会でした。
唐物茶入の「利休尻膨」。 その名の通り利休所持の名物で、宋代のもの。利休のあと家康が入手し、関ヶ原の戦いに際して細川忠興に送られ、現在はそのまま永青文庫の所蔵とのこと。家康は忠興がこの茶入を死ぬほど欲しがっていたのを知っていたのでしょう。
三井美術館で出会った時には、感動して動けなくなった「長次郎 黒楽茶碗 俊寛」。腰の張ったこの姿が美しい。黒釉の鈍い光を帯びた肌に「触れてみたい!」という欲念が掻き立てられます。
唐物茶碗 曜変天目(稲葉天目)は、世界で三椀のみとのこと。足利将軍家、徳川家、岩崎家へと伝わったとか。銀河系宇宙を彷彿させる内側の景色は、偶然の賜物。
1570年代の初代長次郎から現代当主15代吉左衛門までの径路を辿る展覧会。450年近く、それぞれの時代の当主が一子相伝の中、独自性を追求しようとする情熱は感じますが…。奇をてらったものは、なかなか心を打ちません。