12月 162013
 
仏教学者 鈴木大拙の世界
 あ

禅を中心に仏教の本質を西欧世界に伝えることに尽力し、

1966年に95歳で亡くなった鈴木大拙さんの『鈴木大拙館』を訪れました。

敷地の特長である斜面緑地を背景に、石垣や水景など金沢を象徴する景観を創造し、

その中で鈴木大拙の世界を展開するというコンセプトのもと谷口吉生が見事に設計しています。

建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、

「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成され、

この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、

来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えるようになっています。

しんしんと降る雪の中、町の喧騒から逃れ、

心静かに、物思いに耽ることができる上質な空間で、鈴木大拙に関する本(置いてあった円空の本も良かったです)を何冊か読み彼に思いを馳せました。

最後にいくつか抜粋しています。

 

エントランスのアプローチ

 

玄関から展示棟までの『内部回廊』。足元よりの光が動線を示唆し、幻想的な空間を創り出しています。

 

『展示空間』に掛けられた「それはそれとして」の書。大拙さんは悩み事などを相談されると、じっくり話を聞いたあとに「それはそれとして..」と話し始めていたそうです。 自分の努力ではどうにもならない壁にぶち当たったら「それはそれとして」とつぶやいてみると、うまくいくこともあるかもしれません! 私もこの書のポストカードを机に置いて、物事にとらわれない心を養いたいと思っているのですが…。簡単ではありません。

 

大拙の著作と映像やラジオなどが視聴可能なiPadが置いてある『学習空間』。 窓の外は『路地の庭』。つくばいはイサム・ノグチのものだとか。

 

雪の降る『水鏡の庭』。定期的に波紋が発生し、水面はいったん乱れ、また元の静寂へと戻っていきます。しかし、戻ったように見えても先ほどまでの景色とは違います。水も、一箇所にはとどまらず絶えず変化しています。水鏡の庭に浮いているように佇む『思索空間』。

 

『展示棟』から『思索空間』への回路で、『水鏡の庭』を眺めることになりますが、私的には、ここは一種の瞑想空間。降りゆく雪が水面にあたり、消えてゆく様子を無心で長いこと眺めていました。

 

『思索空間』側から『展示棟』へ戻ると、斜面になった背景の自然が視界に入ります。

 

 

 

日野原重明さんのコラムから

『仏教学者の鈴木大拙老師の言葉「それはそれとして」が私の心に深く染みこんできました。 特定の物事にとらわれることなく、「それはそれとして」、心を流れる水のように保つ。
来るべき時間をよりよく生きるため、しなやかな心で前を向く。
「それはそれとして」そうつぶやいた時、私はやっと体の疲労感とともに、精神の疲れまでもが、さらさらと洗い流されていったように感じました。』

 

大拙師の最晩年の15年を秘書役として生活を共にし、記念館の名誉館長である岡村美穂子さんと大拙について『三人の女性と鈴木大拙』(上田閑照著)から

「一人」を生き、世界の只中で働きつづける大拙に、ニューヨークで彗星のように一人の少女が現れる。

その人こそ大拙の死まで秘書を務めた岡村美穂子さんでした。
この出逢いこそ、正真正銘の出逢いと呼ぶべきでしょう。

以後、大拙は生き生きと、明らかに生まれ変わったのでした。
その出会いについて、大拙の没後、岡村さん自身が書いている。

ニューヨークに住むハイスクールの一生徒、十四歳の少女が
「仏教のえらい先生が日本からおいでになって」
コロンビア大学で講義があるということを知り、
「どれ、聞いてみてやろう」と
「私も気負っていたのかもしれません」と彼女は言う 。

大勢の大学生や教師たちの間に忍び込み、大拙先生の現れるのを待っていた。
やがて教室の扉が開かれ、片手にこげ茶色の風呂敷包みをかかえた大拙が
「風を切るような大股でサッサッと」教壇を目指してまっすぐに歩いてゆく。
教壇にのぼり、風呂敷包みを丁寧に広げ、
和綴じの本を二冊取り出して、その本をめくってゆく。

その大拙の現われにおける身体の動きに、彼女は
「いつわりを知らない他の生き物のしぐさ」を感じた。
「先生は、然るべき項を見つけると、静かな口調で話をはじめられました。
私は、その気品ある見事な英語に驚かされました。」
大拙(当時八十歳)の「仏教哲学」の講義が始まった。

講義の内容は十四歳の少女には難しかった。
しかし講義を理解する以上のことを感じ取っていた。
「いつわりを知らない他の生き物のしぐさ」と彼女は言う。
人間には大なり小なり自意識による歪みや澱みが生ずるものだが、
彼女が大拙に見たものは、身体化された真実の自然さである。
彼女はそれを見ることができた。

彼女は「先生が全身で示される大説法それ自体」の響きを聞いた。
大拙は、繕わず巧まないところに大いなるものが現れるという意味の居士号「大拙」の通りに、その存在の現われをもって彼女を説得した。

彼女は、仏教も禅も知らず、素手で、それだけにより直接に大拙の存在の真実性を感じ取ったのである。
仏教界での大拙の連続講演も聞くようになった彼女は、
やがてコロンビア大学付属のホテルに住む大拙先生を訪ねるようになり、
大拙は彼女にとって次第に決定的になってゆく。

「人が信じられなくなりました。生きていることが空しいのです」。
少女のこの訴えを聞いて、大拙はただ「そうか」と頷いた。
「否定でも肯定でも、どちらでもない言葉だと思いました。
が、その一言から感じられる深い響きは、私のかたよっていた心に、
新たな衝撃を与えたのではないかと、今にして鮮明に思い出されます。
先生は私の手を取り、その掌を広げながら、
「きれいな手ではないか。よく見てごらん。仏の手だぞ」。
そういわれる先生の瞳は潤いをたたえていたのです。
私が先生の雑務のお手伝いをしながら、心の問題と取り組ませていただいたのは、このような環境でのことだったのです。

 

 

 

 

 

  •  12月 16, 2013

2012 YA apartment Studio

 

2012 YA Heights Studio type TOKYO

Brief 

 The site was a 40 year old apartment building consisting of 10 floors of 8 apartments. The apartments are all rental. The building has 3 apartment types. The initial brief was to design a new layout for one of these. The idea being that as tenants change the apartments would be renovated to the new layout. The 2.5mx6.5m space was to be studio type apartment that provides a comfortable living space with enough storage to attract tenants. This was to be done on a very limited budget. There are ceiling beams and pillars in this small space, so the layout of the apartment created a puzzle that needed to be solved. Due to budget constraints, I selected Ikea kitchen units to create a small kitchenette and dining / desk /TV area along the side of the room so that no furniture was required except for a bed.

My design has now been applied to more than 80 apartments; as a direct result the occupancy rate of these apartments has significantly increased. 

 

service

 
店舗、オフィス、アパート、戸建住宅、またキッチンや浴室など個別の空間のデザイン、カウンセル申請書類作成、施工管理に関連する業務を行っております。

私の考えるインテリアデザインは、お客様が断片的に持っていらっしゃる理想のイメージを体系づけし具体的に空間に落とし込むこと。

お客様が理想とするライフスタイルを具現化することです。

ご要望をじっくりお聞きして、一件一件を丁寧にデザインさせて頂きます。

個人事務所だからこその情熱と対応の早さでお客様の想いを実現したいと思っています。

デザインに関する初期のご相談やヒアリング、現場視察につきましては費用は発生いたしません。

小さなことでもお気軽にご相談ください。

また、現在、新築中やリフォーム中だけれど、第3者の意見がほしいなど、

購入や工事を前提としないご相談にも応じております。

 

デザインを通じてできるコト。

 

インテリアコーディネイト

お部屋の模様替えをしたいけれど、何から手をつけていいか分からない…  そんな時にはご相談ください。

カーテンや家具を選んだり、小物を探したり、お好きなテイストに合わせてコーディネートのお手伝いをいたします。

新規ご購入予定の家具に限らず、お手持ちの家具も含め、導線や機能性を考えプランニングをさせて頂きます。

店舗に関しても、レイアウトや小物を少し変えるだけで魅力ある空間に再生させることができるはずです。

 

リフォームプランニング

キッチンの使い勝手が悪い、バスルームが古くなった、子供部屋を増設したいなど、

使いづらくなった間取りや住宅設備を、今の暮らしに合わせてリフォーム。

家族にとって最良の「まどり」とは?使い勝手のよい動線とは?収納計画は?

主婦の目線と専門知識で、それらひとつひとつを積み上げ

暮しやすく心地の良い住空間をご提案いたします。

店舗の場合は、地域性、集客層を考慮し、敏感にトレンドを取り入れながら、

元マーケティングのプロとして、イメージの向上、集客率アップなどのお手伝いをさせて頂きます。

パース画などイメージしやすいご提案もさせて頂いております。

 

整理収納コンサルティング

美しい空間に必要なものは、何でしょうか?

それは、「不要なものがないこと」ではないでしょうか。

私たちは、多くの物に囲まれ、その物たちを、どう片付けるか、どうしまいこむか、どう処分するかに日々追われています。

それは、「時間と精神面の浪費」にほかなりません。

いつも「何かを探している」から、解放されませんか?

整理収納に関するお悩みを分析し、解決方法をご提案致します。

ぜひ、ご自分のための「整理され収納された快適空間」を生み出してください。

法人の皆様も、オフィスの中、机周りなど、整理整頓されませんか?

 

造作家具家具デザイン

造作家具、オリジナルキッチン、製作食器棚、収納、AVボード、クローゼット、書斎など、

ライフスタイルに合わせジャストサイズでデザイン、設計、製作しております。

 

図面書類制作

カウンセルへの申請など、 正式に図面が必要なケースも多いはず、

測量も含め必要な申請書類を制作いたします。

 

 

 

 

 

Home

 

フリーマントルにあるインテリアデザイン事務所です。
日本人ならではの感性を生かした空間をプロテュースしています。

 

 日々の生活の中で美しいものと出会い、何を見て、何を感じるか…。

 人はこうした出会いを通じて色々な感覚や感動を味わいます。

 そして、そうした経験が多いほど感性が研ぎ澄まされ、発想が柔軟になってゆくものではないでしょうか?

 インテリアの仕事を通じて出会う一人一人のお客様、一つ一つの物件、その理想とするかたちは千差万別です。

 お客様との打ち合わせを重ねることで、その方に感性や人生観のようなものを、

かすかにでも感じ取って差し上げることができたら、

 ご本人が思い描いていた以上に、ご本人の理想に近い空間を創り出すこともできるはずでです。

 デザイナーとして、そして日本人として私は、そんな敏感で繊細な感性を磨いてゆきたいと感じています。

 

プロフィールはこちらから

 


 


 

 


9月 152013
 
Gordon St Garage in Perth でランチ

最近パースではこのスタイルのカフェが増えている。コービー豆のローストやお料理にもこだわっていて良い感じです。

 

 

レッドエンペラーのカルパッチョ

  •  9月 15, 2013
5月 172013
 
釣りパラダイス – ブレマー・ベイ
Bremer Bay 

 

パースから車で7時間、西オーストラリアの南の果てにあるブリマーベイ。海釣りと沼釣りで大漁の 3 日間。釣り好きには夢のようなところです。包丁持参で、毎日、沢山の魚を捌きました!

 

「サーモン」という名前ながらサケ科とは関係なく、マルスズキ科の不味い魚で、 薬味をたくさん入れて、つくねにしましたが、それでも無理して食べるような代物です。でも引き上げる時の高揚感は凄かったです!

 

沼で獲れた大きな鯛!鳴門鯛 ?! のように身が引き締まり、適度に脂ものっていました。

 

 

 

鯵も…こんなに…

  •  5月 17, 2013