ビルバオの再生
優れた都市デザインが都市を再生させると云うまるで机上の方法論を、
魔法みたいに見事に実現してしまったビルバオ市。
私の尊敬するシーザー・ペリの途轍もなく大胆なマスタープランを採用し
世界の著名建築家にデザインを競わせ、
最先端技術を駆使して、美術館、数々の橋、新空港、地下鉄、国際会議場、コンサートホールを建設。
これらのモダンで無機質なデザインが当初から簡単に市民に受け入れられたとは考え難い…。
特に、フランクゲーリーの美術館など!
さらに、人口35万、都市圏を入れて105万人という都市の規模にはそぐわない、
トラム1路線、メトロ2路線、鉄道数社、バス数社という公共交通。
実際に全て利用してみましたが、システマティックで快適そのものです。
採算性をどう考えたのか、妥当性について疑問視されたでしょう。
しかし今では、この魅力的な都市に、観光やコンベンションの目的で
世界中から人々が押し寄せるようになりました。
バスク州政府なのかビルバオ市長なのか、
どんな確信があってこのプロジェクトに邁進したのか、
その勇気と見識と想像力を称えたいです。
町の中心を流れるネルビオン川沿いの芝生の上を、歴史的町並みを背景にしながら、音もなく颯爽と走るLRT(Light Rail Transit)。 環境と人に優しく見栄えもする、低炭素型都市づくりの象徴。低床式のトラムは本当に乗降が楽です! この町は、地下鉄をはじめ至る所がバリアフリーです。
フォスター卿の地下鉄駅
フォスター卿がデザインした地下鉄の入り口が、町中で口を開けています。
カラトラヴァによる曲線の美しいチタニウム製のズビズリ橋(バスク語で白い橋)。
真っ白なアーチと繊細な吊りケーブルがビルバオの青空に映えます。吊りケーブル全体がアーチの頂上へ向かっていくような上昇感、求心性があり、かくも美しい橋なのですが、どういう構造で歩道面を吊っているのか不思議です。
先に見えるツインタワーがイソザキ・アテア(バスク語で門)。
ビスカヤ橋。世界遺産にも登録されている世界最古 (1893年)の運搬橋です。ワイヤーで吊り下げられたゴンドラが、ピストンで車や人を運びます。
フランク・ケーリーのビルバオ・グッゲンバイム美術館。年間100万人が訪れ、莫大な建設費は3年で回収したとか…。
いつでも沢山の人が散歩している、憩いの場となっているグッゲンハイム美術館の遊歩道。
カラトラヴァの空港
どこまでも白と曲線を求めた姿は、優雅さを感じさせます。サーフボードのような形をしたベンチの座板から、ボーディング・ブリッジにいたるまで、「ここまで曲げる?」と言えるほど、曲げまくる、カラトラバの真骨頂。この空港にいたボーディングまでの時間、鉄とガラスで出来ている建物なのに、布製のテントの中にいるかのような感覚の、温もりある空間でした。
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